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2015年9月19日 (土)

監査等委員会設置会社の話

 監査等委員会設置会社の導入の勢いが止まらない。

 
日経新聞の9月15日の記事によると、移行済み・移行表明の上場企業は14日時点で220社(うち東証1部以外の上場企業は111社)とのことで、上場会社の6%にも及んでいる。

この勢いだと、来年の6月総会終了時には、これが2割程度になってもおかしくはない。
 

 ところで、この機関設計には、あらかじめ留意を要することが大きく2つある。

1.監査等委員会が従来の監査役及び監査役会の機能を持ちながら、各委員が取締役でもあることから、自己監査を極力回避する方策を検討しておくこと。

 すなわち、監査的観点から見ると、取締役会で賛成した事項について、あとで監査がしにくい、すなわち監査の実効性が損なわれる可能性がある(自己監査)。

 これを避けるには、重要な業務執行の決定を、経営会議ないし業務執行取締役に委任し、取締役会は、基本的な事項を決定し、業務執行の監督に機能の重点を移すという方策が検討されることになろう。

これまでの監査役に、取締役としての議決権を持たせて監督の実効性を上げることに主眼を置き、取締役会の決議事項を従前通りとする会社もあるが、この場合、監査等委員は、後からも監査をしなければならない立場から、取締役会での審議には監査役以上の相当程度の緊張を迫られるといえよう。

2.監査等委員会の「等」の方針を明確化しておくこと。

 「等」は、監査等委員会が(その選定する委員を通して)株主総会において、監査等委員以外の取締役の選任、報酬等に意見を述べる権限を意味している。この権限は、これまでの「監査」の範囲を超えているため、表現上「等」とせざるを得なかったところである。

 すなわち、監査役が通常の職務の遂行過程では触れてこなかった取締役の人事・報酬について、監査等委員会において、株主総会で意見を陳述するか否かの検討が必要になるということである。

「意見陳述をしない」としても、株主の質問を受ければ、しない理由を説明せざるを得ず、いずれにせよ事前の検討は不可欠である。実務的には、まだどうなるかわからないが、監査等委員会の監査報告の際に、「特に不適正な点はなく意見はない」旨を自ら報告するプラクティスが生じる可能性もある。

 監査等委員会に取締役の人事・報酬に触れられるのを好まない経営陣幹部がいる会社であれば、この点は摩擦が生じかねないので、本機関設計の導入を見送った方がよいかもしれない。

 
以上の基本的なポイントの対応は先決事項である。

  なお
、この6月総会で監査等委員会設置会社に移行した三菱重工が「三菱重工コーポレート・ガバナンス・ガイドライン」を公表している。

http://www.mhi.co.jp/companygovernance/
 

上記2の点に関して気になるところはあるが、全般的に参考になる。

弁護士 出澤 秀二

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