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2015年9月21日 (月)

監査等委員会設置会社の話(3)

今日は、監査等委員会の選定する監査等委員の権限を考えます。

「監査等委員会が選定する(した)監査等委員」は、会社法に10か所登場する。

監査等委員会は会議体なので、委員会としては、個別に委員を選定して委員会としての職務を遂行させる必要が生じる。すなわち、選定された監査等委員は、委員会から委嘱を受けた職務を委員会の意向に従って遂行する必要がある。

この選定の場合を実務的観点から大きく次の3つに分類することができる。

1.報告徴収・調査権の行使(3993ⅠⅡⅢ)

・会社の取締役・従業員に対する業務執行の報告徴収権、業務・財務の状況の調査権

・子会社に対する事業の報告徴収権、業務・財務の状況の調査権

これらは、監査等委員会の決議(監査方針、監査計画等)があるときは、これに従う。
 
・「監査等委員会が選定した監査等委員は、その職務を行うため必要があるときは、会計監査人に対し、その監査に関する報告を求めることができる。」(397ⅡⅣ)は、「選定した委員」が「その職務遂行上必要な場合」であるので、基本的に、上記報告徴収・調査権に付随するものととらえることができよう。


 
これらは、従来の常勤監査役が主に担当していた機能といえよう。したがって、監査等委員会設置会社としても、常勤の監査等委員を選定して包括的に権限を付与することになろう。

2.株主総会における委員会の意見・理由の陳述・報告

・監査等委員以外の取締役の選任・解任・辞任に関する監査等委員会の意見を株主総会で述べる権限(3422Ⅳ)

・監査等委員以外の取締役の報酬等に関する監査等委員会の意見を株主総会で述べる権限(361Ⅵ)

・会計監査人の解任理由を株主総会において報告する義務(340ⅢⅤ)

これらは、株主総会における陳述者であるので、監査報告を決定する際に選定してもよいし、あらかじめ常勤の監査等委員を選定しておいてもよいであろう。

3.特殊な場合

・取締役会の招集権(3993ⅩⅣ)

・会社と監査等委員以外の取締役等との間の訴訟につき会社を代表する権限(39973か所)

これらの場合は、その必要が生じたときに委員会で協議をせざるを得ず、そのときに適任者を選定するのが望ましい。

公表されている監査等委員会規定には、上記すべての場合を一緒にしているものが見受けられますが、性質の違いを理解しておくべきでしょう。上記3の特殊な場合は、あらかじめ選定しておくような性質のものではありません。監査等委員会の意向にかかわらず、あらかじめ選定された監査等委員が「取締役会を招集」できるのは明らかに不都合です。


弁護士 出澤 秀二

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